ゴッホに愛された浮世絵師

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那珂川町馬頭広重美術館(栃木県)

栃木県那珂(なか)郡にある「那珂川町馬頭広重(ばとうひろしげ)美術館」。幕末の浮世絵師 歌川広重の作品を中心に展示される浮世絵の美術館です。2013年4月20日〜6月30日、この美術館で「ゴッホ生誕160周年春季特別展〜渓斎英泉展 ゴッホに愛された花魁(おいらん)〜」が開催されました。

浮世絵の美術館がなぜゴッホを?それは、ゴッホが浮世絵の影響を色濃く受けていたことで知られる画家だからです。それを象徴しているのが『タンギー爺さん』という作品。背景に花魁の姿が描かれているのですが、これは、江戸末期に活躍した浮世絵師「渓斎英泉(けいさいえいせん)」の「雲竜打掛の花魁」を模写したものだといわれています。本展では、ゴッホが模写したその浮世絵をはじめ、美人画、風景画など150点あまりが展示されます。

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渓斎英泉の作品「雲龍打掛(うちかけ)の花魁(おいらん)」が印刷された展覧会チケット。

その影響とをどのようなものだったのでしょうか?ときは「ジャポニズム※」華やかなりしパリ。あるときゴッホはジャポニズム雑誌「パリ・イリュストレ」の表紙を飾った花魁を描いた浮世絵に心を奪われます。一目でこの絵の虜になった彼は、その妖艶な花魁を繰り返し油絵で模写したといいます。ゴッホは、浮世絵そのものに魅了されていただけではありません。その背後にある日本人や日本人の自然観、芸術のあり方などに強い関心を寄せていただことが、知人や弟とかわした書簡から明らかになっています。

※「ジャポニズム」とは、19世紀末のフランスを中心としてヨーロッパで巻き起こった、浮世絵を代表とする日本芸術が作家や画家たちに影響を与えたとされるムーブメントのこと。

このようにヨーロッパ芸術にまで影響をあたえた浮世絵。「浮世」とは「現代風」という意味もあり、当時の風俗を表現したポスターのようなものだったといわれています。絵画と肉筆画、そして版画の手法がありますが、版画により同じ絵柄のものを何枚も刷ることができるようになり、安価となり、結果として江戸庶民も広く楽しむことができたようです。

それまであらゆる楽しみは限られた身分の人たちのものであった日本。このころから、大衆文化が生まれ、文明開化に向けて庶民の暮らしが大きく変化する時代に突入していったのですね。

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